vol.1 日比谷駅から銀座方面へアンティークな抜け道

華やかな大通りから少し入るだけで、驚くほど表情の違う道たちが交差する銀座。隠れ家的ショップに続く道、知る人ぞ知る近道などGSTスタッフakkaによる超私的「道」セレクトです。

【FROM】　地下鉄千代田線日比谷駅　

【TO】　シャンテシネなど、銀座方面

千代田線日比谷駅の真上、三信ビル。ホーム中央の階段を上って改札を出ると、すぐ前のA１１出口がビルの地下に直結していて、銀座方面に行く時はこのビルの中を通って地上に出ます。１階のアーケードは、アーチ型の天井がとても雰囲気のある通り道なのです。（写真・下は２階から間近に見たアーチのレリーフ）

私事ながら、この通り道はかつて私の通勤路でした。２年前まで銀座に勤めていて、通勤で使っていた千代田線日比谷駅。オフィスに最寄りの出口ではありませんでしたが、余程急いでいるとき以外わざわざ通っていたほど惹きつけられました。1930年に建てられたというこの三信ビルは、古さよりも美しさが印象的。エレベーターの佇まい（写真・下）、ステンドグラス、階段の手すりなど75年前の美意識が隅々にまで感じられます。

 

古い建物の温もりに包まれて歩くことができるこの空間。ちょっと辛いことがあった時、敢えてそれに触れずに楽しい話をしてくれる友達ではなく（それも有り難いですけどね）、黙って隣に来てくれて、そっと肩に手をおいてくれるような友達、というイメージです。説明がかなり叙情的になっているには理由がありまして……………

　なんとこの三信ビル、取り壊しが決まってしまったそうなんです。最近通るたびにテナントが減っていて悲しい予感はしていたのですが…やはり老朽化には勝てなかったようです。とても知的で理性的な保存プロジェクトも活動されているのですが、建物としての寿命もあり保存は現実的に難しい様子。

　この美しい建物が壊されてしまう前に、お近くを通るときはぜひ寄り道を。

←日比谷公園側から見た姿。外観も周りのビルとはひと味違う♪